税務ニュースBLOG
- 2014.09.09
- 税務調査
脱税、所得隠し、申告漏れの違いについて
マスコミでよく目にする「脱税」「所得隠し」「申告漏れ」ですが、いずれも悪いイメージを与える言葉ですので、マスコミに報道された場合、その企業のダメージは大きくなります。
ところで、みなさん、そもそも、これらの言葉の違いを理解できているでしょうか。
おおまかなイメージでは、
黒(犯罪) → 「脱税」
灰色(悪質な申告漏れ) → 「所得隠し」
白(経理ミスによる申告漏れ)→ 「申告漏れ」
との理解で結構かと思います。
もっと正確を期すなら、脱税は、国税局の査察部により調査(強制的な税務調査)を受け、検察に告発される案件のみを指します。これは、ほ脱犯の犯罪成立要件(注)を満たす犯罪行為となります。
所得隠しや申告漏れは、いわゆる任意の税務調査を受けて指摘を受けた案件を指します。
このケースは、通常は修正申告すれば、おとがめなしですが、なぜか、旬な会社やネタが絡むと、一罰百戒の意味を込めてマスコミに報道される場合があります。
そのうち、悪質なものについては、「所得隠し」と報道され、経理ミス等の悪質でないものは「申告漏れ」と報道されているようですが、この基準はマスコミ各社によって判断基準にバラつきがあるようです。
税務調査での指摘事項であったり、修正申告の内容のだいぶ詳しい部分までが、マスコミの取材努力によって公表されてしまうわけですが、査察案件ならともかく、通常の税務調査の内容は税務署や国税局の公務員しか知りえない非公表の情報のはずですので、マスコミの情報収集能力には、いつも驚かされます。。。
ともかく、マスコミに報道された場合、取引先や利害関係者への説明は迅速に正確に行うべきでしょう。
それが、脱税案件でなければなおさらです。
正確に、税務当局の指摘事項の内容を説明し、修正申告を行った旨と、脱税とは異なる旨を説明しなければ、取引先や利害関係者に悪いイメージをもたれたままとなり、企業経営へのダメージが大きくなります。
(注)ほ脱犯の犯罪成立要件
① 偽りその他不正の行為
② 税を免れること
③ ①と②の因果関係
④ 故意があること