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給与が一部未払の場合の源泉徴収-年末調整に向けて
もうすぐ年末調整の時期が到来します。手続きや処理を再確認してください。
毎年、給与の未払についての質問を受けますので、下記を参考になさってください。
ご不明点等ございましたら、お気軽に東池袋の大向税務会計事務所までお問い合わせください。
役員や従業員に支払う給与等が、定められた支給日に支払われずに未払となる場合、原則として支払われるまでは源泉徴収は行われません。
(借方)給与 200,000 (貸方)未払金 200,000
源泉徴収は給与等を実際に支払う際に行われます。
(借方)未払金 200,000(貸方)現金預金 195,230
(借方) (貸方)預り金 4,770
ただし、役員に対する賞与は、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日において支払があったものとみなされ源泉徴収を行います。このみなし規定が適用されるのは、役員賞与と配当だけですので、役員報酬や給与等が、たとえば3年5年と未払となっていたとしても、源泉徴収は行われません。(法人税法上、損金性が否認される可能性があります。)
給与等の一部を支払い、残額が未払となる場合には、支払うべき給与等の金額に対する所得税のうち、実際に支払う給与等の金額に対応する部分の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する必要があります。
<具体例>
まずその月に支払うべき給与等の金額を「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて、所得税及び復興特別所得税の額を求めます。
支給額が200,000円で甲欄(扶養控除等申告書を提出しているということ)、扶養ゼロとすると、源泉所得税は4,770円です。(平成25年4月1日法令に基づく)
次に、求めた所得税及び復興特別所得税の額に、支払うべき給与等の金額を分母とし、実際に支払った給与等の金額を分子とした割合を掛けます。
実際に支払ったのが150,000円とすると、4,770円に150,000/200,000をかけ、預かる源泉所得税は3,577円となります。
(借方)未払金 150,000(貸方)現金預金 146,423
(借方) (貸方)預り金 3,577
このように所得税及び復興特別所得税の額を算出して、実際に支払った給与等から源泉徴収します。
また、年末調整を行う際に未払が残っている場合、その未払となっている給与等の金額も年間の給与等の支払金額の総額に含め、その未払給与等に対応する所得税及び復興特別所得税の額も年間の所得税及び復興特別所得税の額の総額に含めたところで年末調整を行います。
住民税、国民健康保険料等は、給与等に未払があったとしても、未払額を含めた総支給額で算定されます。
給与所得者等が確定申告で還付申告(たとえば、医療費控除、住宅ローン控除)をする場合において、未払の給与等があるときは、この未払の給与等に係る源泉所得税(源泉徴収票等にカッコ書された未徴収税額)は、未払給与等が支払われて源泉徴収されるまでは還付されません。
当該給与等から所得税の源泉徴収が行われず、会社(支払者)側で源泉所得税が未納付となっているためです。
この場合、後日、未払給与等が支払われ、これに対して源泉徴収された時点で、申告した者(源泉徴収義務者ではありません。)が遅滞なく「源泉徴収税額の納付届出書」を自身の所轄税務署長に提出し、その還付を受けることになります。