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自社株の相続における真の株主の判定

真の株主の判定

同族会社の社長が亡くなった場合、自社株の相続が発生します。自社株の相続の場面において、難しいのが真の株主の判定です。

 

同族会社の株主は通常、別表二(同族会社等の判定に関する明細)にて確認することができます。
ところが、社歴が長い会社であれば、いつの間にか株主構成が変わっていることもあり、この明細に記載のある株主の真否が不明な場合が多くあります。

 

別表二の株主と真の株主

たとえば、以下のような場合、別表二の株主と真の株主に違いが生じてきます。

 

・会社設立時に人数合わせのために、他人や、親族の名義を借りて設立出資者としている
・子供や孫が生まれたときに、譲渡や、贈与の事実がなく、名義を変更している
・増資した際に、名義は親族になっているが、実際は誰がお金を拠出したか不明

 

これらの場合、株主名簿(法律上の作成義務がある)を確認しなければなりませんが、株主名簿を備え付けていない(別表二で代用している)中小企業が多いです。

 

株主の事実認定

こういった場合には、真の株主の判定は困難ですが、以下の方法で事実認定していくこととなります。

 

・原始定款の確認(最初の株主の特定)
・過去の配当の有無の確認
・譲渡制限株式(定款で確認)の場合、取締役会の譲渡承認議事録が残っているか確認
・贈与が行われている場合、当事者の贈与と受贈の意思の確認
(名義人の意思に基づき株式を自由に処分することができるようになっている状態かどうかを確認)
・過去の相続の状況(資産分割協議や遺言の内容)

 

別表二だけの情報だけですと、相続税の税務調査時に被相続人が実質財産である名義株式として認定されるリスクがあり、さらに、遺産分割協議を再度行う必要が出てくるリスクがありますので、相続人に対して十分なリスク説明が必要となります。

 

相続対策についてのご相談は、御茶ノ水の大向税務会計事務所までお問い合わせください。

 

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