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相次ぐ書類不備で課税

 書類の不備で課税があった場合、税理士にとって最大のリスクとなる事案、すなわちクライアントから損害賠償を求められることになります。

 近年の税制改正では、書類不備の場合に適用できない課税の特例が多くあり、特に組織再編税制が絡むと、手続き書類の確認作業だけで胃が痛くなることもあります。

  税務調査の現場の感覚で言えば、法令で規定しているので、書類の不備をした納税者に対しては課税して当然との認識があるようにみえます。

 税務当局が鬼の首を取ったように喜んで課税している一方で、税理士側としては損害賠償リスクはもとより、クライアントとの信頼関係の崩壊につながってしまいます。

  税務当局の最近の動向をみていると、課税するときは形式要件を満たさない場合は課税して当然という感覚であり、形式要件を満たしている節税案件については、実態に応じた課税(相続税6項評価)として形式要件を否認するというダブルスタンダード感があります。

 厳しい形式基準を規定して、課税するという方法は税務当局(官僚)の権限を一方的に強くする方法ですので、納税者の立場としては好ましいものではありません。

 租税法律主義は、国家に対して国民の同意に基づく課税を義務付けています。その機能として国民の経済生活が法的に安定することと、予測が可能であることが期待できます。

 昨今の日本の税制は複雑化、形骸化しすぎてしまい、租税法律主義により期待される機能が確保できていないケースが増えてきています。  

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