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経営セーフティ共済の申告不備 2021/10/12

経営セーフティ共済は中小企業の連鎖倒産防止のための共済ですが、その本来の趣旨よりも税務実務上は節税アイテムとして重宝され、中小企業者や個人事業者に浸透してきた制度です。

 

確定申告の際には、「経営セーフティ共済の掛け金」に関する明細を添付する必要がありますが、国税庁でその様式を定めていないことから、他の民間の共済と同様に明細を添付しなくてもよいと勘違いしている納税者が多く、税理士ですらも勘違いして処理しているケースが散見さていました。

 

税務調査の現場では、明細の添付がなくても調査官が見過ごすケースまたは指導で終わらせるケースも多く、税務調査で指摘され否認されるケースは稀であったように思います。否認されて国税側と争ったケースもありましたが、不服審判所で納税者敗訴となっていたように思います。

 

2021/10/12付の日本経済新聞によると、会計検査院の調査において、明細の添付がないのに適用が認められたケースが平成30(2018)年に少なくとも906人で5億9,457万円になると明らかになりました。また、特例の利用者が、解約時の返戻金を収入として計上していいないことも判明しました。

 

会計検査院の調査を受け、国税庁の担当者は「指摘を踏まえ適切に対応したい」と回答したと報道されています。

 

実務上の問題として、会計検査院の指摘通りに906人分5億円の共済掛金の費用処理の申告を否認するのでしょうか。申告代理を行った税理士は、損害賠償の対象となることも想定されるため、国税庁の対応を注視したいと思います。

 

法人、個人の確定申告でご相談のある方は、御茶ノ水の大向税務会計事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

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