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退職所得課税の見直し

2022年4月以降に支払う退職手当について、勤続5年以下の従業員に支払う退職所得の金額の計算は次のように変わります。

 

<従来>

(収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得の金額

→ 日本の税制のなかでも最も優遇されている税制のひとつ

 

<改正後>

150万円 + {収入金額 - (300万円 + 退職所得控除額)} = 退職所得の金額

→ 勤続5年以下の多額の退職金に税制優遇しすぎのため、退職所得が300万を超える場合には1/2課税を排除した。

 

短期的に退職を繰り返す役員(渡り・天下り)の節税手法となっていた退職手当については、特定役員退職手当等として、すでに優遇制度の一部を排除しているため、今回の改正は実質役員にもかかわらず従業員として受け取ることによる節税封じとなります。

 

今回の改正は空いた穴をふさぐような節税封じを目的とした改正であるが、そもそも、役員であろうが、従業員であろうが5年以内に支給される300万を超える退職手当は1/2課税、分離課税などの軽減課税は相応しくない。むしろ、担税力の観点、所得再分配の観点から重課税対象にしてしまってもよいと思うのが正常なバランス感覚だろう。

 

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