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財務省税収推移データ公表

先日、2018年度税収が過去最高の60兆円超でバブル期超えの記事をアップしましたが、財務省の税収推移データが公表されましたので、内容を確認したいと思います。

 

・所得税収は26.7兆円→ 19.0兆円で7.7兆円減
最高税率が60%から45%へ引き下げられた税収減を、共働き世帯の妻の納税による税収増で支えられなくなっています。

 

・法人税収は19.0兆円→ 12.2兆円で6.8兆円減
国際的な法人減税による企業誘致競争があり、税率が43.3%から23.2%となっています。

 

・資産税収は金額は不明ですが、構成比が15.8%→14.1%となり、1.7%減
地価がバブル期から下落していることによる税収の減少影響を、一般的なサラリーマン家庭にまで相続税の納税義務を拡大させることで相続税収を補っています。

 

・消費税収は3.3兆円→ 17.6兆円で14.3兆円増
所得税、法人税の減少を消費税が補完しています。
消費税は、法人税や所得税などと違い、稼得した所得に応じて納税するタイプの税金ではなく、国民1人が年間にいくら国に消費税を納めたのか分からないため、納税感が薄くなるという特徴があります。
しかし、たとえば、年間に生活費500万円の家庭であれば40万円の納税、生活費300万円の家庭であれば24万円の納税負担が実は発生しています。

 

・社会保険料の推移(平成元年との比較)
厚生年金 12.4% → 18.3%で5.9%増加

 

年収500万円の労働者で、社会保険だけで29.5万円負担が増えています。
財務省と厚生労働省で役所が異なるのはわかりますが、社会保険の推移も併せて公表し、国民の負担がどれだけ増加しているのか、分かりやすく国民に伝えてほしいものです。
日本経済はバブル以降、大きく成長していませんが、年収500万円世帯では一世帯当たり消費税と社会保険料を合わせておよそ年間50万円以上バブル時代の頃の世帯より多く国に貢献していることになります。

税収がバブル時代を超えたことを誇るのは、財務省の官僚であればともかく、政治家がこれを誇るのはセンスが悪いです。終身雇用がなくなり、派遣会社に利ザヤを抜かれ、さらに消費税の増税が行われるなか、日本の真面目な納税者であるサラリーマンはよく踏ん張って国を支えている、政治家はこのような納税者に感謝するのが筋でしょう。

 

■追記所感
令和元(2019)年7月3日付け日本経済新聞朝刊では、所得税収が対前年で増加した理由として「具体的には、ソフトバンクグループが子会社から受けた配当金にかかる所得税で約4千億円を計上した。ただ本来は非課税の取引のため19年度に全額が還付される。」
とわざわざ記載していましたが、なんの意図があるのかわかりませんでした。

平成30(2018)年3月期にアーム株の取得価格と時価評価額の差額分などで2兆円超の税務上の欠損金(国内過去最高)を発生させた報道があったばかりですから、日本の税制の在り方を日経新聞の読者に問うていたのかもしれません。

 

法人、個人の税金のことでご相談のある方は、お気軽に御茶ノ水(神田小川町)の大向税務会計事務所までお問い合わせください。

 

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