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漁業の経済価値
内閣府によると2021年の漁業と養殖業のGDPは5084億円で、国全体のGDP(540兆円)に対する割合は、0.09%となります。
雇用の面からみても、漁業の就業者は13万人とのことですので、国全体の雇用者6,667万人と比較すると国全体の0.19%となります。
付加価値及び雇用者の面からのみ分析すると、水産業は国全体の1%にも満たない経済価値となっています。
ただし、水産業の特色として、地方の方が経済的価値が高くなる傾向があることがあります。
たとえば、北海道の場合、水産業のGDPの占める割合は北海道経済の0.53%であり、さらに日高地方にフォーカスすると水産業の占める割合は3.3%となります。
つまり、地方にフォーカスしてみればみるほど、地域経済の中における水産業の重要性は増していく傾向にあります。
さらに、水産業は、漁具、漁船、網、加工、流通など裾野の広い産業でもあります。
漁業が地元経済にどの程度影響を与えるかを分析した研究結果がアラスカ大学で報告されています。
分析の結果、地元漁業者の水揚金額が100万ドル(約日本円で1.4億円)増えると、地元のほかの産業の雇用が7.2人増え、その地域全体の所得は154万ドル(日本円で約2.1億円)増えるという結果が出ています。
処理水の問題もあり、漁業と国の支援の問題がクローズアップされていますが、漁業の支援にあたっては、漁業経済が地域経済へ与える影響度合と、他の産業への波及効果を考えて対応を打つ必要があると思います。
デジタル田園都市国家構想交付金で地方に助成金を交付するよりも、水産業を税金で支えた方が地域経済に対する波及効果は大きいのではないでしょうか。