税務ニュースBLOG
- 2013.10.15
- 法人の税金
役員報酬の改定
従業員に対する給与は原則として損金に算入されますが、役員給与(報酬)については、役員退職給与などを除き、一定のもの以外は損金算入されません。
損金算入される役員給与は下記のとおりです。
(1) 退職給与、一定のストックオプションにかかる費用(株式報酬費用)及び使用人兼務役員の使用人分給与
(2) 役員給与のうち、(1)以外のもので、次のいずれかに該当するもの
① 定期同額給与 ② 事前確定届給与 ③ 一定の利益連動給与
ただし、不相当に高額な部分の役員給与及び事実を隠ぺい・仮想して経理することにより支給する役員給与は、損金算入されません。
定期同額給与とは下記のとおりです。
(1) 支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与(定期給与)であり、かつ、その事業年度内の各支給時期における支給金額が同額であるもの。
たとえば、毎月25日に50万円ずつ支払われているといったケースです。
(2)役員報酬額の改定は、一般的に下記に該当する場合にのみ認められます。
1 前期末から3ヶ月以内の決議による場合
→役員報酬改定決議が3ヶ月以内に行われていれば、支給が4ヶ月目からとなっても定期同額給与と認められます。
2 役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更
3 主要取引先の倒産等
一時的な業績悪化による報酬額の変更は認められないことに留意してください。
また、報酬改定の際には、議事録の作成が必須です。調査の際にも確認されますので、必ず作成してください。
報酬額の改定については、定款に定められていると思いますので、ご確認ください。
<具体例>
■増額改定
以下の場合には認められます。
3月決算
6月25日総会決議
従前の報酬額:30万円
改定後の報酬額:50万円
改定時期:7月支給分から
以下の場合には認められません。
3月決算
総会決議なし
従前の報酬額:30万円
改定後の報酬額:70万円
改定時期:10月支給分から
(70万円-30万円)×6ヶ月(4~9月)=240万円が損金に算入されません。
つまり、損益計算書上役員報酬として840万円計上されても、 法人税の税額の計算上は、240万円が否認されます。
■減額改定
以下の場合には認められます。
3月決算
6月25日総会決議
従前の報酬額:50万円
改定後の報酬額:25万円
改定時期:7月から
理由:業績の悪化のため
以下の場合には認められません。
3月決算
8月1日決議
従前の報酬額:50万円
改定後の報酬額:20万円
改定時期:9月から
理由:一時的な業績の悪化のため
給与の増額・減額については、会社によってケースバイケースですので、 お気軽に東池袋の大向税務会計事務所へお問い合わせください。