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中小企業の生産性の低さについて

日本の中小企業の生産性の低さについて、その真の理由が人材活用の問題であり、大学院修了者を活用できていないためであるとするご意見を聞きました。

たしかに日本の中小企業の労働生産性はG7の中で最低です。

菅政権の時代には、デービット・アトキンソン氏の意見を取り入れ、生産性の低い中小企業は淘汰して、生産性の高い企業に労働者や資金を集約すべきだとする考え方を政策に取り入れる動きもありました。

しかしながら、日本の中小企業の生産性の低さは、人材の問題というよりも、構造上の問題です。

日本の場合、中小企業の生産性を低く抑えることで大企業の利益を確保し、株価を維持しているという市場の構造があるということにこそ、日本の中小企業の生産性の低さの本質があるように思います。

たとえば、中小企業を淘汰して、生産性の高い企業にその事業を集約させると、設備投資の恩恵を受け、生産性の低かった事業の生産性が向上されますが、集約した側の生産性の高かった企業の生産性は集約前より落ちるでしょう。

要は、日本全体の企業の生産性が向上しない中、他の先進国が生産性を向上させているグローバルな経済環境の中で、日本市場では、取引価格を通じて中小企業の生産性を低くすることで、上場企業の利益を確保し、日本の株価市場を維持している状況です。

中小企業の生産性が上げるような取引価格で上場企業と取引できれば、中小企業も生産性を上げるために必要な設備投資ができ、生産性は向上する。上場企業と直接取引のない中小企業の生産性にも設備投資を通じて生産性の向上は波及することになります。

日本の中小企業の生産性の低さは上場企業の株価を支えています。

 

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