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副業での赤字と給与所得との損益通算

平成27(2015)年2月17日付日経新聞で、名古屋国税局が会社役員に脱税指南をしたとして、偽税理士を告発したとの記事を掲載していました。

手口は単純で事業所得や不動産所得で赤字がでたものとして、給与所得と相殺し、源泉徴収税額を還付させるもののようです。
昨年度は東京局管轄でも横須賀の方で同様な手口で還付申告を受注していた偽税理士が告発されていた記憶があります。
この記事で着目すべき点は2008年から2013年の6年間が不正の対象期間であったということ。
つまり、6年間不正の発覚しなかったという点です。
もう一つ着目すべき点は、偽税理士に還付申告を依頼していた会社役員は違法性を認識していなかったことから告発が見送られた点です。
当事務所では当然ながら、税理士の使命と倫理に従い、適正な申告を行っていますが、世の中には未だ一定数、偽税理士による不正な還付申告が蔓延っていると推測できます。
単純な副業の赤字による還付申告であれば、副業が赤字のときの申告添付書類として、不動産賃貸契約書や取引先の相手方の情報を提出することで、怪しい申告書の選定は可能かと思います。
今後、このような不正還付案件が多くなれば、施行令や通達の整備が検討されることと思います。
ただし、マイナンバー制度が拡大浸透し、預貯金の名寄せが可能になれば、もっと簡単に①申告情報(所得、相続、贈与含む)と②預金残高情報のみで、あとは統計的手法を用いれば、効率的に不正な申告を選定することが当局にとっては可能となり、効率的かつ効果的な税務調査が可能となります。

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