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脱税ニュース 2015/1/14-逆養老保険を使った脱税
2015(平成27)年1月14日の各社ニュースによると、会社で逆養老保険保険の解約金約2億円を個人口座に振り込ませ、法人所得を隠したとして、名古屋国税局が告発した査察案件がありました。
まず、逆養老保険とはなにか?
これは全額を損金算入できるタイプの節税保険です。
節税保険といえば、逓増定期保険やガン保険があり、保険会社各社が売り込んでいましたが、定期逓増保険は2008(平成20)年2月に、ガン保険は2012(平成24)年4月に全額損金処理できなくなりました。
現在残っている全額損金タイプの節税保険が逆養老保険となります。
通常の養老保険との違いは次のとおりです。
通常の養老保険 | 逆養老保険 | |
契約者 | 法人 | 法人 |
被保険者 | 従業員・法人 | 従業員・法人 |
死亡保険金受取人 | 役員・従業員の遺族 | 法人 |
満期保険金受取人 | 法人 | 役員・従業員の遺族 |
この逆養老保険では、保険料の支払い時に1/2が保険料として損金算入、1/2が役員報酬又は給与として損金算入されることとなります。
今回の案件では、この保険の解約金を法人として益金計上せずに、社長の個人口座に振り込ませて収入除外していたとのことです。
本来であれば、逆養老保険も養老保険でも、解約時の受取人は契約者である法人となっているので、法人が収益計上しなければなりません。
そのため、隠ぺい・仮装の故意があった(本当にあったかは不明)として告発したのでしょうが、こういった保険の税務処理上の誤申告は一般的に散見されるところであり、申告ミスを調査の段階で指摘を受け、修正申告を行っている案件も多々あることは当局もご存じでしょうに、どうしてこの案件が査察案件に上がったのか疑問の残る案件でした。