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法人に対するみなし贈与に係るみなし譲渡課税の適用除外

個人から法人に対し、譲渡所得の起因となる資産の贈与があった場合には、贈与時のその資産の価額(時価)で譲渡があったものとみなされて課税されますが、次の場合にはこのみなし譲渡課税の適用から除外されます。
(適用期間:平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間の贈与)

 

中小企業者(※1)に該当する内国法人の取締役等でその法人の保証人となっている個人が、その法人の事業の用に供されている資産(有価証券を除く)を、債務処理計画(※2)に基づき、その法人に贈与した場合には、次に掲げる要件を満たしているときに限り、一定の手続きのもとでその贈与によるみなし譲渡課税を適用しないこととされます。

 

①その個人が、債務処理計画に基づき、その内国法人の債務の保証に係る保証債務の一部を履行していること。
②その債務処理計画に基づいて行われたその内国法人に対する資産の贈与及び保証債務の一部の履行後においても、その個人がその内国法人の債務の保証に係る保証債務を有していることが、その債務処理計画において見込まれていること。
③その内国法人が、資産の贈与を受けた後に、その資産を事業の用に供することが債務処理計画において定められていること。

 

(※1) 中小企業者とは、次の法人をいいます。
イ 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次に掲げる法人以外の法人
ⅰ その発行済株式又は出資の総数または総額の2分の1以上が同一の大規模法人(※)の所有に属している法人
ⅱ ⅰのほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上が大規模法人の所有に属している法人
(※)資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
ロ 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

 

(※2)
債務処理計画とは、その法人について策定された債務処理に関する計画で、一般に公表された債務処理を行うための手続きに関する準則に基づき策定されていることその他の政令で定める要件を満たすものをいいます。

 

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<参考>
譲渡をした個人は、譲渡をした翌年に確定申告をする必要があります。
下記2項において、「確定申告書に、同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項の贈与をした資産の種類その他の財務省令で定める事項を記載した書類及び同項各号に掲げる要件を満たす旨を証する書類として財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。」とありますが、平成25年7月現在まだ書式のフォームを入手することができません。国税庁HPで発表があり次第、お知らせいたします。
租税特別措置法第40条の3の2
(債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例)

第四十条の三の二  第四十二条の四第十二項第五号に規定する中小企業者に該当する内国法人の取締役又は業務を執行する社員である個人で当該内国法人の債務の保証に係る保証債務を有するものが、当該個人の有する資産(有価証券を除く。)で当該資産に設定された賃借権、使用貸借権その他資産の使用又は収益を目的とする権利が現に当該内国法人の事業の用に供されているもの(当該資産又は権利のうちに当該内国法人の事業の用以外の用に供されている部分がある場合には、当該内国法人の事業の用に供されている部分として政令で定める部分に限る。以下この条において同じ。)を、当該内国法人について策定された債務処理に関する計画で一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき策定されていることその他の政令で定める要件を満たすもの(以下この項において「債務処理計画」という。)に基づき、平成二十五年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に当該内国法人に贈与した場合には、次に掲げる要件を満たしているときに限り、所得税法第五十九条第一項第一号 の規定の適用については、当該資産の贈与がなかつたものとみなす。

 当該個人が、当該債務処理計画に基づき、当該内国法人の債務の保証に係る保証債務の一部を履行していること。
 当該債務処理計画に基づいて行われた当該内国法人に対する資産の贈与及び前号の保証債務の一部の履行後においても、当該個人が当該内国法人の債務の保証に係る保証債務を有していることが、当該債務処理計画において見込まれていること。
 当該内国法人が、当該資産の贈与を受けた後に、当該資産をその事業の用に供することが当該債務処理計画において定められていること。
 前項の規定は、確定申告書に、同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項の贈与をした資産の種類その他の財務省令で定める事項を記載した書類及び同項各号に掲げる要件を満たす旨を証する書類として財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。

 

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