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リスキリング助成金不適切受給

令和6(2024)年10月11日付け日本経済新聞によると、会計検査院の抽出調査で、リスキリング助成金を受けた事業者のうち、3割の事業者で不適切受給が確認されました。

 

人材開発支援助成金

不適切受給があったのは、雇用保険法に基づく「人材開発支援助成金」です。

この助成金はリスキリングに要した費用の3/4(75%)を事業者に支給するものです。

近年は助成金コンサルタントによる勧誘により需要が刺激され、助成金の申請額が高額になるケースが急増し、社員研修等を取り扱うコンサルが潤っていました。

 

不正スキーム

不正のスキームとしては、以下のとおりです。

➀ 助成金コンサルタントが「実質無料で研修ができる」との謳い文句で、WEB集客や電話などで営業勧誘

② 企業側は、助成金の対象となるリスキリングによる研修契約の費用(4/4相当)をコンサル側に支払

③ 厚労省が企業側にリスキリング助成金(3/4)を支払

③ コンサル側は、研修契約とは別に、「感想文の提出」などの業務協力名目で、企業側にキックバック(1/4相当)を支払

 

これで、雇用保険料を助成金コンサルにばらまくスキームが完成です。

 

考察

今回は、「感想文の提出」という業務協力名目が、あまりにも形式的なものだったため、会計検査院に不正認定されましたが、これが、実態を伴った業務協力によるキックバックであれば、不正できるかどうかは疑問が残ります。

 

実際に、これまでもこのような助成金ばらまきスキームにより、以下の業界で多額の税金、雇用保険料のばらまきが行われています。

「雇用調整助成金と社労士」

「事業再構築助成金と助成金コンサル」

「IT助成金とITベンダー」

 

今回、会計検査院がサンプル調査したのは、氷山の一角と報道では表現されています。
氷山の一角は全体の10%程度ですが、コロナ以降のばらまきによる助成金のうちキックバックによる不正受給が表面化している割合は10%に満たない可能性もあります。
厚労省や経済産業省に国税のような調査に特化した庁がないことが、要因のひとつにあるように思います。

 

 

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